スピーカーユニット:FOSTEX FF105WK+エンクロージャ:P1000-Eの周波数特性改善

概要

フルレンジスピーカーユニット:FOSTEX FF105WKとP1000K専用エンクロージャ:P1000-Eを組合せて使用する場合、本来はFF105WK用に設計されていないため低音100Hz付近が持ち上がった周波数特性になります。そこで簡単な改造でよりフラットな周波数特性にするべく3Dプリンタで追加バスレフダクトを作り、P1000-Eに取付けしました。

追加バスレフダクトはThingiverseの以下リンクにアップロードしました。

https://www.thingiverse.com/thing:4884798

 

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FF105WK + P1000-E

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追加バスレフダクト(50mm延長してダクト全長:140mmに変更)

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追加バスレフダクト

経緯&詳細

以前フルレンジスピーカーユニット:FOSTEX P650Kとそれ専用エンクロージャP650-Eを購入しました。P650Kはφ65mmサイズにしては良い音が出るな~と感じたものの現在PCスピーカーとして使っているAudioengine A2+ Wirelessに比べると(まあ価格的に当然なんですけど)全体的な音に物足りなさを感じていました。

しかし想像していた以上にしっかりした音が出ていたので、FOSTEXフルレンジユニットの上位機種だとどんな音が出るのか好奇心が沸いたのです。

P800KやP1000Kは多分にP650Kと音の傾向が一緒であろうと考えたので、公式サイトから価格が手頃で優秀な印象を受けたFFシリーズからFF105WKを選び、安価なエンクロージャ:P1000-Eと一緒に購入した次第です。

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外箱

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Audioengine A2+とFF105WK+P1000-Eのサイズ比較

さてP1000-Eは本来P1000K用なのでFF105WKを取付けた場合、内容積不足に加えてバスレフポートの設計がFF105WKに適してないものと考えられました。

そこでノーマルP1000-EにFF105WKを組合わせた時の周波数特性をSPEDアプリケーションで調べてみると下図のようになりました。100Hz付近が約2.5dB高くなっています。

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ノーマルP1000-Eでの周波数特性

バスレフダクト長を50mm延長して全長140mmにした場合が下図になります。

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バスレフダクト140mm延長時の周波数特性

バスレフダクト延長前後で比較すると下図のようになります。延長後は100Hz付近が抑えられ全体的にフラットな特性となり、少しだけではあるものの80Hz以下の低音がノーマル時より向上します。

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バスレフダクト延長前後での周波数特性比較(重ね合わせ)

 実施結果

さて実際に取付けたものの自分の耳では改造前後で正直違いはわかりませんでした😅

 

そこでスマホアプリのスペクトラムアナライザ:Spectroidを使用し、改造前後比較を行いました。(測定用スマホXPERIA SO-02G、スピーカーとの距離は50cm)

結果は以下の通りで40-200Hz付近を計測しましたが100-200Hzでは改造後の方が下がっており、(誤差っぽい感はありますが)100Hz以下で改造後の方が向上しました。

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Spectroidによる周波数特性比較

<2021/10/19追試>

上の実験結果がイマイチだったので、更にDayton Audio iMM-6 + iPhoneSE(2020)とRTAアプリ (AudioTools)を使用したピンクノイズ計測による追試を行いました。

ただし上の実験時から改造前後共に、P1000-E内へ吸音材(ポリエステルウール)を追加したこと、及び測定距離を25cmに変更したことで計測条件が諸々変わっています。

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iMM-6マイクによるRTA計測風景(スピーカー-iMM-6間距離:25cm)

結果は以下の通り。

青色バーが測定最大値を示しているので、改造前後での青バーの変化を比較すると125-250Hz付近で効果が表れている結果が得られました。(赤い棒グラフはFFT高速で計測しているので、比較に使うにはあまり有効でないと思います。)

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改造前(標準P1000-E+FF105WK)

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改造後(P1000-Eバスレフダクト延長後)

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相対比較結果(Gimpでレイヤ重ね合わせ+「比較(暗)」適用)

おわりに

ちなみにFOSTEXが推奨するFF105WK用エンクロージャはBK105WB2で、P1000-Eより値段が約5倍も高く、内容積が約6LとP1000-Eの約4Lより大きいです。

 

SPEDによって求まるBK105WB2での周波数特性は以下であり100Hz以下が持ち上がるようです。一方、FOSTEX公式サイトでの周波数特性は70~100Hz付近がフラットです。

 

恐らく公式の方が正しい計測結果を示していると思いますので、SPEDで求まる周波数特性では低音域を少し持ち上げ気味にエンクロージャを設計した方が実際の音は良くなるものと推測します。

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FF105WK+BK105WB2の周波数特性

https://www.fostex.jp/products/bk105wb2/

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FOSTEX公式サイトのBK105WB2周波数特性

 

以上おわり